2017/08/04

生命の糸

ブリリアントブルーの油絵具を買いに、街の画材屋へ。いつも親切にしてくれる店のお父さんが、まさにその色のTシャツを着ていた。クラクラする太陽に誘われて、中央公園に足を伸ばした。連休明けの公園は、夢の跡のような静けさで、授業をサボって抜け出したあの頃と、たしかに構図は同じなのだけど、ありふれた自由が、なにも起こらない風景に滲んでいく色調を、あの頃よりは印象的に描いていた。

平日の昼過ぎにふらふらしていると、まるで自分が糸の切れた凧のように思えて、自由と引き換えに不安を抱えてたものだけど、あの頃となにも変わらない、木々や木漏れ日や太陽を浴びていると、その光が魂の陰影を映すので、社会からは切り離されたように感じていても、生命の糸は繋がっていることがよくわかる。

驚くほど人のいない、なにも起こらない風景なのに、目が離せなくなるのは、けして立ち入ることのできない、巨大な秘密が、そこに隠れているからだと思う。私たちはぼんやり、その秘密を見ている。

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