2011/04/12

暗示



なにかを暗示する風景というものが、たしかにある。


そういう風景に出会すと、自分が極楽と地獄の境目に立っているような気がしてくる。


 二本の蝋燭があって、偶然吹いた一陣の風によって、一方は消えてしまい、もう一方はゆらりゆらりと消えずに、逆にその風に乗って炎を増し、さらに強く燃え続けてしまうような。まさに生命とは、風前の灯火であり、そこにはいささかの矛盾もなく、もはや一陣の風がいたずらに隣の火を消したとて、それはもう、風を抱いて生きるしかない。という気持ちになる。そんな風景が、たしかにある。



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